もうなにも

全部なかったことにしようと あなたは言った

ふたりが出会ったことも ふたりだけの思い出もなにもかも

思い出すのはつらいから

最初からなかったと思えば 気が楽になるだろうと

そして わたしは なにも言えなくなる

大切にしてきたふたりのシーンも

なにがなんでも守りたかったあなたへの想いも

なかったことにするなんて

うまくいっていたふたりが

すれ違うようになってしまったのは

いつからだっただろう

わかってくれないと きみが訴えるから

理解しようと つとめてきた

それでも きみはぼくを責めては

わたしたちはわかりあえないと言う

言葉を尽くせば尽くすほど 無意味に空回りするばかり

そして ぼくは なにも言えなくなる

楽しかった頃を思い出しては 泣き出すから

せめて きみの哀しい涙を見たくないぼくは

すべてを忘れようと言ったのに

そして なにも言えなくなる

傷を深くしたくないから

これ以上 傷つけたくはないから

なにも言えなくなる

もう なにも言えなくなる

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする